

本作は記念すべき第10作目,そしてボンド映画化15年目の作品である.これまでは1年あるいは2年の周期で作られていた作品が,ここで初めて3年のブランクを経て製作された.映画の規模は過去最大で,劇中に登場するタンカーのセットが既存のサウンドステージには組めなかったため,新しく007専用のステージが建設されたほどだ.この作品の目玉はまさにそのシーン.潜水艦を3隻飲み込むほどのスーパータンカーのセットには驚かされる.また敵の浮き沈み可能な水中要塞,ボンドカーとして登場するロータス・エスプリ,そしてオープニングクレジット前のシーンでの見事なスキーアクション,崖からのジャンプなど見所はたくさんある.
英国の原子力潜水艦レンジャー,ロシアの原子力潜水艦ポチョムキンが相次いで消息不明となった.ボンドらは潜水艦の追跡が可能な装置の設計図が写されているマイクロフィルムを手に入れるためカイロに向かう.エジプトにはロシアの情報部員アニヤ・アマソヴァもきていたが,謎の大男ジョーズにフィルムを奪われてしまう.ジョーズの車に忍び込みフィルムを手に入れたものの,十分な情報を得られなかった.そこでフィルムにうつっていたストロンバーグ社の社章を手がかりに英露が手を組んで調査にあたることになった.カール・ストロンバーグを追って,二人は彼の研究所があるサルディーニャへ向かう.
| ジェームズ・ボンド | ロジャー・ムーア |
| アニヤ・アマソヴァ | バーバラ・バック |
| カール・ストロンバーグ | クルト・ユルゲンス |
| ジョーズ | リチャード・キール |
| ナオミ | キャロライン・マンロー |
| ゴーゴル将軍 | ウォルター・ゴテル |
| グレイ国防大臣 | ジェフリー・キーン |
| M | バーナード・リー |
| Q | デズモンド・リューウェリン |
| マニーペニー | ロイス・マックスウェル |
| 監督 | ルイス・ギルバート |
| 製作 | アルバート・R・ブロッコリ |
| 脚本 | クリストファー・ウッド/リチャード・メイボーム |
| 撮影 | クロード・ルノアール |
| プロダクション・デザイン | ケン・アダム |
| 特殊視覚効果 | デレク・メディングス |
| 編集 | ジョン・グレン |
| メイン・タイトル | モーリス・ビンダー |
| 音楽 | マーヴィン・ハムリッシュ |
今回の秘密兵器といえばロータス・エスプリである.前回のアストンマーチンDB5からさらに車の基本性能がパワーアップし,そのうえ装備も充実している.なんと水陸両用車である.地上走行中は後ろのナンバープレート部分からはセメント(あるいは煙幕)を噴出する程度の機能しか披露されないが,水中に入ったとたんタイヤは格納され潜水艇となる.潜望鏡,水中から空へ発射可能なミサイル,魚雷発射装置,地雷発射装置(スイッチはハザードボタン)などが装備されている.カーチェイスに始まり海水浴場に上陸するまでのシーンは非常にスピーディーで本作の目玉シーンの一つであろう.もちろん車以外にも秘密兵器は登場する.メッセージを送れる腕時計やタバコケース型のマイクロフィルムリーダーなどである.