ここではこれまでにボンド役を演じた俳優さんを紹介しています．

初代　ショーン・コネリー Sean Connery 1930年8月25日，スコットランド・エジンバラ生まれ．ボンド映画に出演する以前はトラックの運転手をしていた．ボンド映画には32歳で出演し連続5作，全6作（ドクター・ノオ，ロシアより愛をこめて，ゴールドフィンガー，サンダーボール作戦，007は二度死ぬ，ダイヤモンドは永遠に）に出演．007は二度死ぬの撮影中に，「他の役も演じてみたい」とボンド役を引退したが，ダイヤモンドは永遠にで1度限りで戻った．また1983年に別会社で製作されたサンダーボール作戦のリメイク版，ネバー・セイ・ネバー・アゲインでも12年ぶりにボンドを演じている．当初原作のイアン・フレミングは彼が演じるボンドを嫌っていたが，晩年の作品は彼が演じるボンドを意識して書かれているという．

2代目　ジョージ・レイゼンビー George Lazenby 1939年9月5日，オーストラリア生まれ．ショーン・コネリーの引退に伴い，30歳で6作目の女王陛下の007でボンドを演じる．彼がボンドを演じるのはこの1作品のみである．オーストラリアからイギリスに渡りCMなどに出演していたところ，そのCMがプロデューサーの目にとまりボンド役に決定．しかしその後演技経験が全くないということが判明し，ボンドの役作りに苦労したという．またオーストラリアなまりが強く，一部のシーンでは声が吹き替えられている．ボンド役という大役のプレッシャー等の理由から，1作のみの出演でボンド役を降板した．また彼はボンド役を演じた俳優の中で唯一欧州人ではない．

3代目　ロジャー・ムーア Roger Moore 1927年10月14日，ロンドン生まれ．彼は初代ボンド役の候補にもコネリーの後継者にも挙がったが，彼がボンド役を得たのは3度目のオファーのあった45歳の時である．連続7作（死ぬのは奴らだ，黄金銃を持つ男，私を愛したスパイ，ムーンレイカー，ユア・アイズ・オンリー，オクトパシー，美しき獲物たち）に出演．ボンド役を終えた時，彼は58歳であった．彼はこれまでとは異なる軽妙なボンドを演じ，また所々に登場するジョークも話題になった．彼の演じるボンドの基本精神は「殺しの嫌いなボンド」．彼は原作小説を改めて読み直し，この役作りを行った．

4代目　ティモシー・ダルトン Timothy Dalton 1946年3月21日，ウェールズ生まれ．彼が最初にボンド候補に上がったのは女王陛下の007のときであるが，当時彼は23歳で若すぎたため辞退している．ロジャー・ムーア降板後の41歳のとき4代目として登場し，連続2作（リビング・デイライツ，消されたライセンス）に出演．彼が演じるボンドはムーアのような軽妙なキャラではなく，精悍で凛々しいものとなった．またこれまではほとんどボンドが見せたことのない喜怒哀楽をはっきり表しているのも彼の作り上げたボンド像の特徴といえる．

5代目　ピアース・ブロスナン Pierce Brosnan 1953年5月16日，アイルランド生まれ．プロデューサーのアルバート・R・ブロッコリが彼に最初に会ったのはユア・アイズ・オンリーの撮影中である．当時のピアースの妻，カッサンドラ・ハリスが同作に出演していたため，陣中見舞いに訪れている．ムーアの後継者としても名が挙がったが，TV番組の撮影により辞退．42歳でボンド役となる．連続4作（ゴールデン・アイ，トゥモロー・ネバー・ダイ，ワールド・イズ・ノット・イナフ，ダイ・アナザー・デイ）に出演し，その後降板した．彼はこれまでのボンド要素をすべて持ち合わせており，現代版ボンドの基礎を築いたといってもよい．

6代目　ダニエル・クレイグ Daniel Craig 1968年3月2日，イングランド・チェスター生まれ．5代目の降板を受け，200人ものボンド役候補者から選ばれた．2006年公開のカジノ・ロワイヤルがボンド役としてのデビュー作となる．これまでにも「トゥーム・レイダー」や「ロード・トゥ・パーディション」などの大作映画にも出演している．ボンド役俳優としては初めてのブロンドの俳優である．カジノ・ロワイヤルでは，殺しのライセンスを得た当初のボンドを演じているが，ショーン・コネリーに負けない野性味と物語が作り出す人間性もあいまって，既に彼なりのボンド像を確立しているかのようで，今後続投の期待も高まる．